PROJECT STORY

グローバルな
自動車船業務システムの
構築と導入

自動車船業務システム統合もいよいよ最終段階を迎えた。
これが完了すれば、
システムメンテナンスのコスト削減が実現し、
地域をまたがる航路でのスムーズな管理が可能になる。

PROJECT STORY 01

世界統一システムに向けての長い道のり

自動車船業務にあたって、荷主との契約、希望到着日にあわせた船のブッキング、航海スケジュール管理、B/L(Bill of Lading = 船荷証券)の発行、精算を管理するための基幹システムが導入されている。従来はアジア/欧州/米州それぞれの拠点ごとに別々の基幹システムを用いていたが、日本郵船ではこれらをグローバルに統合するプロジェクトを推進している。輸出地と輸入地の基幹システムが同一ならば、データがシームレスにやりとりでき、業務が大幅に合理化される。

新システムは「PRESTO」(Pcc Roro Enhanced System for Total Operationの略)と呼ばれ、業務毎に段階的な導入が計画された。これまでコスト、航海スケジュール、運賃管理機能の開発導入が完了し、最後に残ったのがブッキングとB/Lを管理する機能の開発だ。「ブッキングとB/L機能開発で最も苦労したのは、システムの開発段階ですね。一から作りあげたので膨大な工数がかかりました。プログラムの開発段階ではプロジェクトメンバーが憔悴し、開発作業が滞る時期もありました」。そう語るのは、システム側のB/L機能開発担当として開発チームに加わったSKである。協力会社のメンバーにはチームを離脱するものもいた。プロジェクト終盤から開発リーダーをSKが引き継ぎ、新しくメンバーを入れることになったのだが、そうなると知識がない人材を戦力化していかなければならない。「しかし、危機感がチームの結束力と集中力を高めました。本当にみな、頑張ってくれました」。

ブッキングについては業務の地域差が特に大きかった。そこでできあがったシステムは、まず日本を含むアジア地域から導入を行い、その安定稼働が確認された後に、米国での導入を行い、最後に欧州という戦略を取った。
「グローバルシステムとはいえ、現地の事情にあわせたある程度のカスタマイズが必要です。まず、現場のユーザー側の要望を取りまとめなければならない」と、語るのは日本郵船へ出向して、業務側でブッキング機能開発のプロジェクトリーダーを務めたHNである。日本と米国では、ユーザーの意識がまるで違う。メールや電話では埒があかず、直接現地へ出向くことも多かったという。

PROJECT STORY 01

文化の違いを越えユーザーの要望に応える

日本では業務の根幹をシステム任せにせず人間がコントロールするべきとの考えから、ユーザーは業務プロセスを理解し、なにをすればいいのかを分かったうえでシステムを使う。システムはより汎用的でシンプルな機能になる一方で、ユーザーには知識とスキルが求められる。それに対して、アメリカのユーザーの多くが、何をするかはシステムが考えるべきだという発想だ。HNは言う。「こちらが使い方を説明しても、『説明なんかなくてもボタンを押すだけで使えるようなシステムがいいんだ』みたいな反応が返ってきます。最初は面くらいましたね」。

日米間でコミュニケーションを取らなければプロジェクトは進まない。時差があるため、毎朝早朝に行う電話会議は半年以上に及んだ。それでも足りず、日本側のメンバーは代わる代わるアメリカへ飛び、長期間に渡ってユーザーに張り付いた。
「メンバーは皆何度も出張しましたが、長い人では延べ200日近く現地に滞在し、現地ユーザーからも厚い信頼を受けてよく要件を取りまとめてくれました。本当に頭が下がります」

HNの話を受け、SKがこう語る。「海外向けのシステム開発・導入ではコミュニケーションが日本以上に重要になります。NBSには、言葉や文化の違いを越えてそれができるメンバーが多く揃っている。ほかのIT企業にはない強みでしょうね」

米州導入が終われば、直ぐに欧州導入が始まる。既にHNとSKは2017年7月にロンドンへ飛び、事前の交渉を行った。HNは言う。「欧州のユーザーがシステムに求めるものは、日本ともアメリカともまた違うものだと感じています。プロジェクトの進め方に対する考えも違う。とりあえずアクションを起こすのではなく、なぜそのアクションを起こすのか細かいことまで説明を求めてくる。全てに論理的な裏付けがないと、彼らは動きません」。SKも「アメリカの人は一旦決まれば一気に突進してくれるのですが、イギリスは一歩毎に確認を求めてくる。これはPRESTOの欧州導入もかなり手強そうです」と苦笑いを浮かべる。ともあれ、PRESTOの世界導入はいよいよ最終段階だ。