PROJECT STORY

国際航路の50隻に導入中の
「電子チェックシステム」

船上業務を電子化し、データを陸上と共有する。
それによって得られるメリットは計り知れない。
その最初のステップとなる「電子チェックシステム」の
導入経緯について語ってもらった。

PROJECT STORY 01

船上の機器チェックをiPad を用いてデジタル化

船舶にはたくさんの機器が搭載されており、それらが正常に稼働することで安定的な運航が継続できる。その機器を正常に動かす為にエンジニアが乗り込んでいる。船のオペレーションは人によるワッチが通常だが、日中にエンジンルームの機器コンディションをチェックし問題がない事を確認できれば、エンジンルームを夜間無人化する事ができる。これまでこのチェック作業は、紙ベースで行われていた。

日本郵船とグループ会社のMTIとでは、それをiPad を用いてデジタル化する「電子チェックシステム」を開発。2014年から行っていた3隻での先行トライアルを経て、2017年より対象船を50隻程度へ広げることになり、NBSが搭載サポート及び搭載後の保守メンテナンスを任された。

「トライアルによって細かな機能改良要望があがっていましたので、まずその対応に取りかかりました」と語るのは、MTIに出向し、電子チェックシステムのトライアルからプロジェクトマネージャーとして携わったMMだ。入力エリアをわかりやすく表示する、頻繁に入力する文字をボタンで用意する、内部処理の高速化といったシステム面に加え、作業中にiPadを落とさないようストラップをかけるなどのハードウェア面の配慮も行った。

各船への導入にあたっては、ソフトウェアのインストールとセットアップ、そしてユーザー(乗船しているエンジニア)への説明を行う必要がある。この段階でプロジェクトに加わったのがMKである。「実際の作業開始は2017年8月からですが、それ以前から準備を整えました。対象となる船舶が日本へ寄港するタイミングを見計らって行動しなければならないので、スケジュール管理が大変でしたね。なにしろ、寄港中は船でもやることがたくさんある。忙しい時間を割いてもらわなければならないので気を使います」。バンカリング(燃料補給)の作業でトランシーバーを使っている相手に、通信の僅かな合間を縫って説明したこともあった。

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既に計画の半ばを達成、最終的な達成のイメージ

先述したように、電子チェックシステムの開発自体はMTIで行われた。「MTIは研究開発部門としてシステムコンセプトを作ることには長けています。しかし、できあがったシステムを、実際の運航船に対して広く展開する力は弱い。グループ内でそれができるのはNBSだと考えました」とMMは話す。「NBSにはシステムの運用サポートについては厚い実績がありますし、船舶の業務知識を備えた人材もいます。ITのスキルだけでは、このプロジェクトはできませんでしたね」MKが、そう付け加える。

船上機器チェックの項目は、船舶の規模にもよるが、コンテナ船だと1500〜2000項目にも及ぶ。電子化による効率化メリットは大きい。さらに入力したデータをそのまま通信できるので、陸上からもモニタリングが可能だ。「これまで陸から見ると、航行している船舶はブラックボックスでした。電子チェックシステムがあれば、船舶で何が起こっているのかを陸側から確認することができる」とMMはいう。当初目標としていた50隻のうち、2017年12月末までおよそ半数が導入済みだ。2018年上半期までに50隻を達成する予定だ。

しかし、課題もある。
一つは導入する地点だ。現在は日本とシンガポールに寄港する船舶にのみ導入を行っているが、他の拠点でも導入できるようにしなければならない。
もう一つは、電子チェックシステムのアフターケアだ。どんなシステムでも導入して終わりではなく、不具合や問い合わせに対応しなければならない。このシステムの場合、船上で用いられるので、サポートスタッフが現地に駆けつけるわけにはいかない。陸上にいて的確なサポートができるように体制を築く必要がある。
「デジタル化によって得られるデータは、業務改善にも大きく役立ちます。それができる環境を構築できたときが、電子チェックシステムのプロジェクトの到達点ですね」。MMが力強い口調で語ってくれた。